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医科との併給併用について

元厚生労働省療養指導専門官・上田孝之氏

質問

膝を打撲した高齢女性を施術したのですが、何だか皮膚の色も悪膝関節可動域にも異常を感じたので、病院で診てもらうようにアドバイスして帰し、その後も何度も施術していました。
そうしたら、私が提出したレセプトが一部支払えないという連絡を健康保険組合から受けました。
何のことだか意味が分かりません。なぜ支払ってもらえないのか教えてください。

解答

健康保険法第87条で療養費は「〜療養の給付に代えて支給する〜」とあるので、病院での治療がなされると療養費は支給しないという扱い、医科との併給併用を認めないという取り扱いになっています。
ただ、同じ療養費でもマッサージは定期的に療養の給付を受けることを推奨しているし、逆に鍼灸はとても厳しく併給確認がされています。
柔整レセプトは本来、医科との併給をチェックされるものなのです。
けれどなにせ件数が膨大にあるし事務処理上難しいのでしょう。
医科治療と柔整施術について、全く同一の負傷部位に同時に治療していたとなると、たしかに療養費はその範囲内で不支給なのではないでしょうか?
そうすると病院への支払いが常に優先されるということにりますね。

ドクターとの連携のことを「医接連携(病院と接骨院との連携)」とか「整接連携(整形外科と接骨院との連携)」とか言いますね。
けれど、緊密な連携なんて取りようがないのではないでしょうか。
現行の保険取扱いでは、柔整レセプトのみが不支給となる可能性があります。
療養費上認められている連携は、

  1. 同一月に医師から骨折の後、治療を依頼される場合
  2. 医師が柔道整復師に骨折等の施術を同意する際に経過観察又は一定期間後に再検査の指示を行う場合

この2点だけです。これ以外は厳密に言えばダメなのです。
健保組合さんの連絡はまさに「医科との併給」と判断したからでしょう。
けれども、こんなことが続くのであれば、おちおちドクターに患者紹介もできないですね。
療養費の制度は、医科との連携は想定されていないのです。


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