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主治の医師の同意とは何か?

元厚生労働省療養指導専門官 上田孝之

 保険の取扱いで医師の同意が必要であることの根拠は、法律で規定されているのではなく、単に行政からの通知によることは機会あるごとに述べてきた。古くは昭和25年の保発4号保険局長通知「すべて医師の同意書を添付する等、医師の同意があったことを確認するに足る証憑を添えるよう」がある。医師の同意に関する通知はその後発出されたり廃止されたり変遷を見せているが、この諸悪の根源保発4号通知が未だに廃止されていないのは驚きだ。
 この通知が生きていることもあって、平成16年10月1日保険局医療課長通知の「療養費の支給の留意事項等について」中第3章7として新たに記載されてしまったのが、“同意を求める医師は、原則として当該疾病にかかる主治の医師とする”という同意の取扱いが求められた。主治の医師とは何を指しているのかよく分からないが、一般的な常識ではおそらく、“かかりつけ医”“家庭医(あるいはホームドクター)”“おかかえ医師”“鍼灸施術開始前の担当医師”などが考えられる。しかし、私はこの「主治」という変な、意味不明の2文字にこだわる必要があると思う。まず第一点目、平成9年12月の保険発150号通知により、「通知に示された対象疾患等(6疾患等)については医師の先行医療(はじめに医科治療ありき)を問わない」となったではないか。そうすると、鍼灸施術開始前の治療担当医師である必要がないことは既に決着済みではなかったか?保険発150号通知は廃止されたが、この「主治の医師」の記載のある留意事項中の第2章2としてきちんと引き継がれているのだ。
 次に第2点目、平成15年9月の平野貞夫参議院議員の質問主意書の「近隣すべての医師が鍼灸治療の同意書発行を断った場合はどうするか?」の内閣答弁書によると「医師が当該被保険者に対するはり施術等の適否まで判断する必要はないと考えている」でも明らかなとおり、医者がその患者に対し、鍼灸治療が適切か不適切なのかまで答えなくていいとしている。じゃあ、どうして主治の医師でなければならないのかが全く理解できないところだ。この留意事項の第3章7には但し書きとして「主治の医師の同意を求めることができないやむを得ない事由がある場合はこの限りでない」とあるが、これが運用上のフォローとしてどれだけ緩和策として具体化できるかも疑問ではある。私にはやはり、保険から鍼灸施術療養費を締め出していきたいとか、療養費支給申請の抑制方策としての運用締め付け強化策にしか見えないがどうだろうか。それともわずか数行の通知からこのような心配をしてしまうのは考えすぎというものであろうか。
 医師の同意書問題は、現行では平成7年9月8日付の医療保険審議会柔道整復等療養費部会の意見をもって論述されるが、当該報告からすでに10年以上経過したのである。その間で鍼灸を取り巻く情勢は、治療家の数からいっても、相補代替医療を議論する環境からも大きく変容したといってもいい。同意の要否について改めて熱く議論していこう。


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